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茶道入門

08.茶席の着物

❙はじめに ~ 茶席の着物 ~

「茶道入門」では茶道に初めて触れる皆様が茶道の基本を学び、心を込めたおもてなしの精神を体験できるよう、茶道の基礎を全10項目にわたって、わかりやすく解説してご紹介しています。

茶道において、着物は単なる衣服ではなく、茶席の雰囲気を引き立てる重要な要素の一つです。季節や茶会の趣旨、格式に合わせた着物を選ぶことで、亭主や客人のもてなしの心が表現されます。茶席での着物は、華美になりすぎず、品格を保ちつつも茶室の設えや季節の風情と調和することが求められます。また男性と女性では装いに違いがあり、それぞれの場にふさわしい着物の種類や格式があります。

本ページでは、茶席にふさわしい着物の種類や、季節ごとの着こなしについて紐解きながらご紹介いたします。茶道の精神を反映した装いを知り、より深く茶の湯の世界を楽しみましょう。

​​それでは「茶道とは?」について詳しく見ていきましょう。

❙茶席の着物 ~ 茶席の正装 ~

茶席の正装としての着物は、茶道の精神や作法を反映し、茶会の趣を整えるために欠かせない要素です。茶席における正装は、単に美しい服装をするだけではなく、季節感や茶会の目的、そして亭主や客人の心を通わせる「おもてなしの心」を表現する役割を持っています。

茶道の世界では、季節感や茶会の趣旨、格式に合わせた着物の選定が非常に重要です。例えば、春夏秋冬それぞれの季節にふさわしい色調やデザインの着物を用い、茶室の装いとの調和を図ることで、茶会全体の雰囲気を整えます。

また、茶席における正装は、単なる美しい服装に留まらず、亭主が心を込めたもてなしの精神を表現するためのものです。結婚式やパーティーで用いられるような、過度に華美な訪問着や振袖、煌びやかな帯などは、茶道の静謐な雰囲気や根本精神にそぐわないため、避けるべきとされています。控えめでありながらも上品な装いが、茶道の「和敬清寂」や「一期一会」といった理念を体現し、亭主と客人の心を通わせる大切な手段となります。

茶道の稽古を重ねる中で、正装としての着物の選び方や着こなしは、流派や先生の教えに基づいて異なります。着物の選定に迷った際は、必ずご自身の先生に相談されることをお勧めします。

茶席の着物は、茶の湯の奥深い世界と、日本人独自の美意識、謙虚さ、和の精神を体現するものです。茶席にふさわしい装いを身にまとい、心を込めた所作で茶会に臨むことで、日常では味わえない特別なひとときを体験し、茶道の魅力を深く感じることができるでしょう.

❙茶席の着物 ~ 男性 ~

茶道における男性の正装は、茶の湯の精神や作法を体現するための洗練された装いとして位置づけられています。茶席では、着物が欠かせず、季節感や茶会の趣旨に合わせた控えめで上品な装いが求められます。

男性の場合、茶席での第一礼装として、「十徳」を羽織ることが認められています。「十徳」とは、羽織に似た広袖の着物で、御家元や宗匠、教授者、宗名者などに限り許可される特別な装いで、一般の者は許可なく「十徳」を着用することはできません。「十徳」は、僧侶が着用していた「直綴」の転訛や、茶の効用を説いた「茶の十」に由来するとされています。

 

「十徳」の着用が許されない場合は、「五つ紋」や「三つ紋」の着物に、縞柄の仙台平の袴を合わせるのが相応しいとされています。

その他、準礼装としては、黒以外の茶色、グレー、紺色などの無地染めの紋付の着物に羽織と袴を組み合わせることが一般的です。着物は、羽二重や上質の白生地を用い、茶会の状況や趣旨に応じた染め抜きの五つ紋、三つ紋、一つ紋を入れるものが選ばれ、準礼装より格下の略礼装では、紋を入れず、着丈をぴったりに仕立てる場合もあります。

袴は、着物の素材感と調和する落ち着いた無地の御召か紬を合わせ、懐紙と扇子を必ず持参し、茶席に入る際は羽織を脱ぎ、白足袋に履き替えるのが作法です。

茶席の正装としての着物は、茶道の根本精神である「和敬清寂」や「一期一会」を体現するため、茶室の装いとの調和を重視します。季節ごとの着物の色合いや柄、装いの趣向は、茶会の時期や目的に合わせて慎重に選ばれ、茶席の静謐な空間を損なわないように注意が必要です。

茶道の稽古を重ねる中で、正装としての着物の選び方や着こなし方は、各流派や先生の教えによって異なります。着物の選定や装いに迷った場合は、必ずご自身の先生にご相談されることが望ましい。

❙茶席の着物 ~ 男性/季節 ~

茶席の着物は、季節ごとに適した素材やデザインが選ばれ、茶室の趣や風情を損なわない上品な装いが求められます。男性の場合も、洋服のように季節ごとに異なる着物があり、主に以下の3種類に分類されます。

❙袷(あわせ)❙

袷は、主に十月から五月に着用される着物です。裏地が付いているため暖かく、寒い時期に適しています。ただし、袷では羽織を着用して席入りすることはできないため、通常は長着に袴を合わせる装いが好まれます。

 

❙単衣(ひとえ)❙

単衣は、六月や九月に着用される一枚仕立ての着物です。裏地が付いていないものの、透けない生地で作られており、袷と同じ素材の表地を用いるのが一般的です。ただし、長襦袢や半衿は、六月から九月の間、絽や紗、または麻など、軽やかな素材が用いられます。

❙絽・紗・麻(ろう・しゃ・あさ)❙

絽・紗・麻は、七月や八月、最も暑い時期に着用される着物です。これらは透ける生地で仕立てられており、裏地は付いていません。合わせる帯は、同様に透け感のあるものを選び、袴地や角帯にも夏用の生地が用意されます。これにより、暑い季節でも涼しげで快適な装いが実現されます。

❙茶席の着物 ~ 男性/帯 ~

男性の帯は、女性の帯と比べ種類が限られており、主に「角帯」と「兵児帯」の二種類に分類されます。一般的に、角帯は礼装から外出着まで幅広く利用され、着物や浴衣に共用されることが多いですが、茶席では扇子をはさむため、特に角帯が適しているとされています。

❙角帯(かどおび)❙

角帯の素材は、絹、木綿、麻、合成繊維など多様であり、長着と同様に繊維文化の進化に伴い種類が増えています。夏用の角帯としては、絽、紗、羅といった透け感のある素材も存在し、涼しさを感じさせる装いが好まれます。

❙兵児帯(へこおび)❙

兵児帯は主にカジュアルな用途やリラックス着に適しており、生地が柔らかく幅広いため、締めた際の身体への負担が少ないのが特徴です。さらに、兵児帯の中でも、端が絞られたものは、その絞りの細かさが高級感の目安となっています。

❙茶席の着物 ~ 男性/袴 ~

​​茶道における男性の着物について、「袴」は、着物とともに用いられる必須の装いであり、正式な茶席での品格を示す要素です。

男性の茶席の着物に合わせる「袴」について、以下の三種類の特徴と用途をご紹介いたします。

❙裂地:仙台平❙

正式には「精好仙台平」と称され、宮城県仙台市で作られる絹織物です。仙台平の袴は礼装・正装に用いられ、最も格が高いとされるため、格式ある正式なお茶会の装いとして相応しいとされています。

❙形状:行灯袴❙

行灯袴は、十月から五月に着用される袴で、中仕切りがなく筒状になっているのが特徴です。その形状が行燈のように見えることから、この名が付けられました。格式を保ちながらも、シンプルで洗練された印象を与えるため、茶席での使用に適しています。

❙形状:馬乗り袴❙

馬乗り袴は、内側が二股に分かれており、裾裁きが工夫されているため、歩きやすいのが特徴です。行灯袴と比べ、より一般的な装いとして広く用いられており、日常的な茶会でも着用可能です。

❙茶席の着物 ~ 男性/その他 ~

茶席における男性の正装は、着物と袴だけでなく、その下に着用する襦袢や半襟、肌着、腰紐、履物といったその他の小物によって、全体の装いが整えられます。これらの小物は、着物の美しいシルエットを保ち、茶席の格式や雰囲気を高めるために欠かせない要素です。

以下に、各アイテムの概要をご紹介いたします。

❙襦袢(じゅばん)❙

着物の下に着る下着であり、着物の形を整え、滑らかなシルエットを作るために用いられます。襦袢には、長襦袢、半襦袢、肌襦袢などの種類があり、用途や季節、着る着物の色味や柄に合わせて選ばれます。長襦袢は、着物の全体を包み込むように着るため、肌触りが良く、着崩れを防ぐ効果もあります。半襦袢は襟元のラインを美しく見せ、着物の輪郭を整える役割を果たします。

❙半襟(はんえり)❙

半襟は、着物の襟元を美しく整えるための補助的な下着です。襟元は着物の印象を左右する重要な部分であり、半襟を正しく選び、整えることにより、全体の着崩れを防ぎ、すっきりとした印象を与えます。茶席では、半襟の色や素材も、着物との調和や季節感を反映して選ばれるため、控えめながらも上品な装いを完成させるために不可欠です。

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❙腰紐❙

腰紐は、着物を固定し、着姿を美しく保つために用いられる重要な下着の一部です。腰紐は、着物のウエストラインを引き締め、全体のシルエットを整える役割を担います。茶席においては、過度な装飾を避けたシンプルかつ機能的なものが好まれます。また、腰紐の締め方一つで、着物の着こなし全体の印象が大きく変わるため、正しい技術と経験が必要とされます。

❙足袋❙

茶席では、基本的に白の足袋を着用します。これは、礼装から普段着まで幅広く使用され、色の付いた足袋を着用していた場合でも、茶席に入る前には必ず白足袋に履き替えることが作法です。

❙履物❙

茶席での履物は、足元を整えるだけでなく、茶道の全体の装いと調和し、茶室の雰囲気に適したものを選びます。履物は、茶道の正装として、シンプルで落ち着いたデザインが求められ、足元がきちんと整っていることは、全体の印象に大きく影響します。伝統的な和装の履物は、形状、素材、色合いなどが厳しく選定され、茶席の静かな空間と一体感を生み出すための重要な要素です。

​これらの小物は、茶席における全体の調和と格式を保つために、各流派や先生の教えに基づいて慎重に選ばれます。正装を完成させるためには、見た目の美しさだけでなく、着心地や機能性にも十分に配慮することが求められます。

❙茶席の着物 ~ 女性 ~

茶席における女性の正装は、茶道の精神を体現し、洗練された品格と調和を保つための大切な要素です。茶道では、女性もまた、控えめで上品な装いを通じて、亭主や客人との心の交流を育みます。

女性の場合、茶席の正装は、季節感や茶会の趣旨に合わせた色合いや柄、そしてシンプルでありながらも優雅なデザインの着物が求められます。華美すぎる訪問着や、豪華な装飾が施された振袖、派手な帯は、茶道の精神にはそぐわないとされ、落ち着いた色調と控えめな装いが基本となります。

また、茶席においては、着物の着付けや帯の結び方、そして足袋や草履といった小物類も、全体の調和を乱さず、茶室の静謐な雰囲気に合わせたものが選ばれます。

 

茶室の装いとのバランスを考え、掛け軸や茶道具と調和するシンプルで上品な装いを心がけることが大切です。

❙茶席の着物 ~ 女性/種類 ~

茶席に着て行く女性の着物の種類には『訪問着』『付け下げ』『色無地』『小紋』といくつかありますが茶道で着る着物の基本は一つ紋の『色無地』です。
ですが、茶会の時期や会場などによって相応しい着物は異なります。
茶会には「茶事」「利休忌」などの茶会から気軽に参加できる大寄茶会まで色々あり趣旨によって着るべき着物も変わってきます。

❙留袖❙

留袖は、着物の中で最も格が高いものとされ、黒留袖と色留袖に分かれます。地色の黒いものを黒留袖といい、黒以外の地色で裾に模様のあるものを色留袖といいます。色留袖に五つ紋付けを施せば第一礼装となり、三つ紋付や一つ紋付けにすれば、訪問着のような準礼装としても用いることができ、格式の高い茶会にふさわしい装いとなります。

❙訪問着❙

訪問着は、留袖に次いで格が高く、華やかでありながらも落ち着いた印象を与える着物です。未婚、既婚を問わず着用でき、格調高い古典柄や豪華なデザインのものは、一つ紋を付けることで色留袖と同等の格式となります。婚礼や重要な茶会、初風炉・口切り・初釜、神社仏閣で行われる献茶式など、格式の高い茶会には、訪問着や付け下げが好まれます。

❙付下げ❙

付け下げは、反物のまま染付けを施し、着た時に模様がすべて上向くように描かれている着物です。見た目は訪問着に似ていますが、訪問着よりも軽やかな外出着とされ、シンプルなデザインが特徴です。元々は訪問着よりも格下とされていましたが、柄の華やかさや紋の有無によって、訪問着と同等の格式として着用される場合もあります。付け下げは、未婚、既婚を問わず使える装いです。

❙色無地❙

色無地は、シンプルな一色染め、または同色の裾ぼかしが施された、黒以外の無地の着物です。家紋を入れることで、訪問着や付け下げと同様に礼装としての体裁を整えることができます。家紋がない場合は略礼装や普段着としても着用でき、黒い帯を合わせることで略式の喪服としても利用可能です。礼装として五つ紋付けする場合もありますが、一般的には背中央に一つ紋を入れる「一つ紋付」が茶会には相応しいとされています。紋が付かない場合は、カジュアルな装いとなります。

❙小紋❙

小紋は、型紙を用いて全体に文様が一方向に繰り返し描かれた着物です。基本的にはカジュアルな着物として扱われ、軽い外出着とされますが、柄の華やかさやデザインによっては、ドレスアップタイプとしても活用できます。小紋は、江戸小紋、京小紋、加賀小紋、紅型小紋など多岐にわたり、各種類ごとに独自の柄や色使いがあります。茶席には、模様が控えめで無地の部分が多い「飛び柄」や、「草花模様」「茶屋辻模様」など、風情を感じさせる小紋が適しており、野点や大寄茶会など、気軽な茶会では訪問着ほど改まらない晴れ着として着用されます。

このように、茶道で着る着物は、基本的には一つ紋の色無地が最も重視されますが、茶会の時期や会場、趣旨に応じて適切な着物を選ぶことが求められます。

茶会の種類や規模によって、着るべき着物の装いは変わり、格式高い茶事から気軽な大寄茶会まで、さまざまな場面で異なる装いがあります。

❙茶席の着物 ~ 女性/帯 ~

女性の着物には様々な種類がありますが、帯にも同様に種類と格があり長さや形柄の入り方によってさまざまな種類があります。
今日、代表的な帯の種類として「丸帯」「袋帯」「九寸名古屋帯」「袋八寸名古屋帯」「京袋帯」「細帯(半幅帯等)」「兵児帯」の七種類があります。

❙丸帯❙

丸帯は、比較的シンプルなデザインが特徴で、普段着から礼装まで幅広く利用されます。柔らかい素材が多く、重ね付けしやすいことから、日常の装いにも適しています。

❙袋帯❙

[寸法]幅30~32㎝×長さ約4m30cm以上
袋帯は、明治時代に丸帯の代わりとして生み出された帯で、最も格が高いとされます。表と裏に異なる生地を使用し、袋状の構造が特徴です。主に二重太鼓で結ぶことが一般的で、格式のある茶会にふさわしい装いとして用いられます。

❙九寸名古屋帯❙

[寸法]34cm(九寸)×長さ約3m60cm

九寸名古屋帯は、袋帯に次ぐ高い格を誇り、織と染の技法が施されています。準礼装から普段着まで幅広く利用され、袋帯よりも短い長さのため、一重太鼓で結ぶのが特徴です。太鼓結びをした際、太鼓部分は約30cmの幅となり、残りの部分は半分の幅になっている点が魅力です。

❙袋八寸名古屋帯❙

[寸法]幅約30cm(八寸)×長さ約3m60cm

袋八寸名古屋帯は、九寸名古屋帯に似たデザインながら、若干異なる長さや仕上げが施される帯です。礼装から準礼装として用いられ、上品な印象を与える帯として評価されています。

❙京袋帯❙

​京袋帯は、京都で生産される帯で、伝統的な織りや染色技法が活かされ、格式の高い装いにふさわしいとされています。美しい柄と落ち着いた色合いが特徴で、正装として多く用いられます。

❙細帯(半幅帯)❙

[寸法]幅約15㎝(四寸)×長さ約3m60cm
細帯、または半幅帯は、幅が狭くカジュアルな装いに向いている帯です。最も格が低い帯とされ、文庫結びや片蝶結び、貝の口など様々な結び方でアレンジが可能です。どの時季にも使用できるため、日常的な茶会にも便利です。

❙兵児帯❙

​兵児帯は、主にカジュアル用途やリラックス着に適した帯です。生地が柔らかく、幅広いため、締めた際に身体への負担が少ないのが特徴です。特に、端が絞られたものは、その絞りの細かさが高級さの目安となっています。

​以上の帯は、茶席の着物に合わせる装いの一部として、茶道の伝統と美意識を体現する重要なアイテムです。各帯は素材、デザイン、仕立てにおいて厳選され、茶席の風情や格式を保つために使用されます。茶会の時期や趣旨、場面に応じて適切な帯を選ぶことで、茶道の精神をより一層引き立てる装いとなります。

❙茶席の着物 ~ 女性/その他 ~

❙帯揚げ❙

帯揚げは、お太鼓結びをする際に帯の形を整え、帯山(帯の丸み)の美しさや帯結びの形をきれいに保つために用いられます。また、重くなった帯を支える役割も担っています。

❙帯締め❙

帯締めは、結んだ帯が崩れないように帯の上から締める紐です。見た目のアクセントとしても機能し、着物全体の装いに上品な彩りを加えます。

❙半襟(半衿)❙

半襟は、着物用の下着の一部として、襟元を整え、着物のシルエットを美しく保つために取り付けられます。茶席では、基本的に白の半襟が望まれますが、華やかな茶会では控えめな刺繍が施された半襟も使用されます。

 

❙襦袢❙

襦袢は、肌襦袢の上に着用する下着で、着物の着姿を整えるために欠かせません。襦袢には、ワンピースのように長い長襦袢と、上下別々になっている二部式の半襦袢と裾よけのセットがあり、気軽なお出かけや稽古の際には半襦袢と裾よけのセットが適しています。着物と同じ素材を選ぶのが基本です。

 

❙肌襦袢❙

肌襦袢は、着物を着る際に最初に身につける下着です。直接肌に触れるため、汗を吸収しやすく、肌触りが良いものを選び、自宅で洗濯できるものが望ましいです。

 

❙着付紐❙

着付紐は、幅3~5cmの腰紐や、幅広い伊達締めを用いて着物の着崩れを防ぎ、全体のシルエットを整えます。さらに、先端がクリップになっている着付けベルトや、マジックテープ付きの和装ベルトなど、便利なアイテムもあり、これらを組み合わせることで、しっかりと着付けを行います。

 

❙帯板❙

帯締めを締めた際に、帯にしわが寄らないように挟む道具で、前板とも呼ばれます。一般的な帯板の幅は約14cm、長さは約40cmほどの短めのものが推奨され、帯の形を美しく保つために用いられます。

 

❙帯枕❙

帯枕は、帯の丸みや形状を整えるために使用されます。特に、名古屋帯でのお太鼓結びや、袋帯での二重太鼓、飾り結びの際に重要です。帯枕は、さまざまな形や大きさがあり、帯の結び方や着用者の年齢に応じて使い分けられます。正装の場合や若い方には、山が高く大きめのものが、カジュアルな場合や年配の方には小さめのものが相応しいとされています。

❙足袋❙

茶席では、基本的に白の足袋を着用します。これは、礼装から普段着まで幅広く使用され、色の付いた足袋を着用していた場合でも、茶席に入る前には必ず白足袋に履き替えることが作法です。

 

❙履物❙

茶席で使用する履物には、草履と下駄がありますが、正装の場合は草履を選ぶのが一般的です。草履は、かかとが少しはみ出るくらいのサイズを選ぶと歩きやすく、茶席全体の装いとの調和も取れます。

​これらの小物は、茶席における全体の調和と格式を保つために、各流派や先生の教えに基づいて慎重に選ばれます。正装を完成させるためには、見た目の美しさだけでなく、着心地や機能性にも十分に配慮することが求められます。

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