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はじめての茶道

はじめてのお稽古

❙はじめに ~ はじめてのお稽古 ~

茶道とは、長い年月をかけてさまざまな時代を経て構築された、日本を代表する伝統文化です。作法、美術工芸、建築、懐石料理などが融合した唯一無二の総合文化であり、世界に誇る伝統芸術といえます。

茶道のお稽古を始めることは、日本の歴史や教養、文化を深く学び、日本人としての礼儀作法や所作を身につける貴重な機会となります。茶道の時間は、日常の喧騒から離れ、心を落ち着け、豊かな時間を持つことで、人生をより深く味わうことができるでしょう。

茶道のお稽古に通うにあたり、ご家族やご友人が茶道を学んでいる場合は始めやすいですが、興味があっても身近に茶道をしている方がいない場合、「どこで習えばよいのか?」「どの流派を選べばいいのか?」「費用はどのくらいかかるのか?」「必要な準備は何か?」など、さまざまな疑問が生じることでしょう。

一度茶道に入門すれば、茶室での立ち居振る舞いや道具の扱い方、基本的な作法からお点前まで、師の指導のもとで実践を重ねながら学んでいきます。茶道は、単なる技術の習得ではなく、日本文化の精神を学び、心を整える大切な時間でもあります。

「はじめてのお稽古」では、茶道を始めるにあたっての疑問や不安を解決し、安心してお稽古に通えるようにお手伝いいたします。

それでは、「はじめてのお稽古」について詳しく見ていきましょう。

❙はじめてのお稽古 ~ 流派 ~

茶道にはさまざまな流派があり、それぞれに特徴や理念、作法の違いがあります。

流派によって点前の手順や道具の扱い方、精神的な教え、茶室の設えなど異なりますが、いずれの流派においても茶道の根幹である「もてなしの心」や「一期一会」の精神は共通しています。

茶道を始める際には、どの流派を学ぶかを考えることも重要ですが、まずは自分にとって学びやすい環境を見つけることが大切です。ご家族や知人が茶道を習っている場合は、その流派を選ぶことで学びやすくなりますし、茶道教室の場所や雰囲気、師匠との相性も重要な要素となります。

ここでは流派を選ぶ際のポイントを各項目ごとにご紹介。

❙1. 学びたい目的を考える❙

茶道を学ぶ理由は人それぞれで「日本文化を学びたい」「礼儀作法を身につけたい」「趣味として楽しみたい」「将来の仕事に活かしたい」など、自分の目的を明確にすることが大事です。

 

❙2. お稽古の環境を重視する❙

流派を決める前に、お稽古をする環境を確認することが重要です。家の近くに教室があるか、通いやすいか、先生との相性はどうかなど、実際に通う際の利便性を考慮しましょう。流派の違いよりも、師匠との相性や学びやすさが、長く続けるためには重要な要素となります。

❙3. 身近な人の勧めを参考にする❙

家族や知人に茶道を学んでいる方がいれば、その流派を選ぶと学びやすくなります。同じ流派であれば、茶会に一緒に参加しやすくなったり、道具を共有できることもあります。

❙4. 主要な流派を知る❙

茶道には多くの流派がありますが、特に有名なものとして「表千家」「裏千家」「武者小路千家」の三千家が広く知られています。さらに遠州流、江戸千家、石州流など、さまざまな流派が存在しそれぞれ独自の理念や作法の特徴を持っています。流派選びの際は、各流派の公式ホームページや資料を確認し、その成り立ちや理念、特徴を理解することが大切です。自身の目的や学びたい内容に合った流派を選ぶことで、より充実した茶道の学びが得られるでしょう。

❙5. 体験教室を受けてみる❙

多くの茶道教室では体験教室を行っていますので実際に参加してみることで、流派ごとの違いや先生との相性を感じ取ることができます。気になる流派があれば、体験を申し込んでみるのもよい方法です。

また近くに教室がない場合やどこで学べるかあるかわからない場合は各流派に直接を問い合わせると最寄りの教室を紹介してもらえますので気軽に問い合わせてみると、自分に合った学びの場を見つけやすくなります。

上記のように述べても、はじめての方にとっては不安に感じるかもしれません。一度入門した流派は基本的に途中で変えることはありませんので、自身が納得のいく先生と流派に出会うまで、さまざまな流派の体験教室に参加してみることをおすすめします。

どの流派を選んでも、茶道の精神や基本的な所作は共通しており、大切なのは無理なく長く続けられる環境と生涯の師を見つけることです。師や稽古場の雰囲気が自分に合うかどうかを見極めることも重要なポイントとなります。

ただし、茶道に限らず、流儀が確立されているすべての日本文化においては、師弟関係が重んじられます。そのため、一度学び始めた流派を途中で変えることは礼を欠く行為とみなされる場合があり、変更後の先生によっては入門をお断りされることもあります。流派を決める際には慎重に選び、長く学び続けられる環境を整えることが大切です。

 

❙はじめてのお稽古 ~ 稽古場 ~

茶道を学ぶにあたり、どの稽古場や教室を選ぶかは、その後の学びを大きく左右する大切な決断です。先生との出会いはご縁であり、一度通い始めると簡単に流派やお稽古場を替えることは難しくなります。そのため、どの流派を学ぶかに加えて、先生やお稽古場の雰囲気が自分に合っているかを慎重に見極めることが重要です。

今日では茶道を習うには、大きく「1. 個人の先生について学ぶ方法」 と「2. カルチャースクールなどの講座」に通う方法 の2つの選択肢があります。

各2つの選択義についてその特徴や違いを解説します。

❙個人の先生について学ぶ方法❙

本格的に茶道を学びたい方や、将来的に上級の点前や講師資格を取得したい方は、お稽古場で個人の先生に弟子入りするのがよいでしょう。茶道の流派ごとの伝統を忠実に学べる環境が整っており、師弟関係を大切にしながら、じっくりと技術や精神性を深めることができます。

また、 個人の先生の教室では、茶会やお茶事の開催が充実していることが多く、実践を通じて学ぶ機会が多いのも魅力です。さらに、先生同士のつながりによって 他の先生からの茶会への招待 を受けることができる場合もあり、茶道の世界を広げることができます。

加えて、 先生が所持している茶道具が充実している ため、稽古の中で名品に触れる機会が増え、道具の扱いや見識を深めることができるのも個人教室の大きな利点です。

❙カルチャースクールで学ぶ方法❙

より気軽に茶道を始めたい方や短期間だけ茶道に触れてみたい方は、まずは自治体や企業が運営するカルチャースクールなどの教室に通うのもよい選択肢です。初心者向けに基礎から学べる環境が整っており、茶道の第1歩として雰囲気をつかむのに適しています。茶道の世界を知り、興味が深まったら個人の先生の教室へ移行するという方法もあります。

 

 

流派に特にこだわりがない場合は、先生との相性やお稽古場の雰囲気が合うかどうかも重視するとよいでしょう。ご家族や知人に茶道を習っている方がいれば、その方の紹介で見学に行ってみるのもおすすめです。

一方、習いたい流派が決まっている方で近くに教室がない場合や、どこで学べるかが分からない場合は、各流派に直接問い合わせることで、最寄りの教室を紹介してもらえることがあります。気軽に問い合わせてみると、自分に合った学びの場を見つけやすくなります。

茶道は、一度入門すると生涯修行となり、師弟の関係も生涯続くものです。

どのような環境で学ぶかを慎重に考え、自分にとって無理なく学び続けられる教室を選ぶことが何より大切です。 まずは体験教室に参加したり、見学をしたりして、自分に合った学びの場を見つけましょう。

 

 

 

 

 

❙はじめてのお稽古 ~ 費用 ~

茶道を始めるにあたり、気になるのが お稽古にかかる費用 です。
茶道の稽古費用は 流派や教室、学ぶ内容、地域 などによって異なりますが、基本的な費用の内訳を把握しておくことで、安心して学び始めることができます。

以下に、お稽古場に入門する際に必要な費用の一例 をご紹介します。


各お稽古場により必要な費用は異なりますので、入門前に必ずご自身の稽古場で確認することが大切です。

❙入会金❙

教室によっては、入会金が必要な場合があり、相場は5,000円~10,000円程度が一般的な相場です。また流派によっては流派への登録料が必要となる場合がありますので事前に確認が必要です。

❙月謝❙

月額のお稽古にかかる費用となります。

一般的な教室の例として「月3~4回/10,000~15,000円」が相場とされています。またカルチャースクールなどは都度の回数券制(1回3,000円~5,000円)や初級編などのコース制があり、より手軽に始めることができます。

❙年会費❙

教室により茶道具や茶室の維持費などとして年会費が必要な場合もありますが多くの教室では設定されていません。ただし流派によっては流派への登録料として年会費が必要となる場合がありますので事前に確認が必要です。

❙水屋代❙

水屋代とはお稽古の際に実際に用いる「抹茶」「お菓子」「炭」などの消耗品の費用です。各稽古場により月謝に含まれている場合と月謝とは別に納める場合がありますので事前にお稽古場にご確認ください。

❙携行品❙

茶道のお稽古をはじめる際に各自がそれぞれ携行する持ち物を揃える必要があります。茶道のお稽古をはじめる際に揃える携行道具の一例です。

  • 帛紗:3,000円~10,000円

  • 懐紙:500円~1,000円

  • 扇子:1,500円~3,000円

  • 楊枝:500円~1,500円

  • 帛紗挟み:3,000円~8,000円

  • 数寄屋袋:5,000円~20,000円

また必要なものがすべて揃った手軽な入門セットで5,000円~10,000円程度で揃えることが可能です。​

他にお稽古場に入るにあたって足袋や白の靴下の準備が必要です。

これらの携行品については​教室によっては先生がご準備くださる場合と自身で準備する場合がありますので事前にご確認ください。

❙許状申請❙

お稽古を続けていく上で資格を取得したいと思う方もおられると思います。
茶道の資格については「お免状」や「許状」といわれ、師事する先生の許しを頂き申請をするといただけます。その際には申請料が必要となりますがこれにはそれぞれの流派に納める費用と先生にお礼としてお支払いする費用(謝礼)があり稽古場ごとに違ってきますので事前に確認が必要です。ただし免状の取得は必須ではなく趣味として学ぶ場合は所得しなくても問題ありません。

❙お稽古茶会/お稽古茶事❙

茶道は四季を大変を重んじるために年間ではさまざまな行事があります。

新年を祝う「初釜」や茶道のお正月といわれる「炉開き」などの特別なお稽古茶会や茶事がなどが多く、こうした行事には月謝とは別に実費費用がかかることがありますので事前に確認しておくこと安心です。

❙お茶会/お茶事❙

茶道の修練を続けていくとさまざまなお茶会やお茶事に招かれる機会も増えてきます。その規模や開催される場所などで変わりますが大寄せの茶会で5,000円~10,000円、料亭などで行われる正式な茶事に招かれた場合は30,000円~50,000円程度の費用が一般的です。こうした茶会への参加は学びを深める貴重な機会となりますが、当然のことながら強制ではありません。

はじめて茶道を習う際には、月謝と最低限の携行品があれば問題なく学ぶことができます。 長く続けるうちに、お気に入りの茶道具を揃えたくなるかもしれませんが、初心者のうちは先生に相談しながら、必要なものを徐々に揃えていくのがおすすめです。また、茶道の学びは一生続くものであり、修練を積むことで自然とお茶会に参加する機会も増えていきます。茶会の参加費用はかかりますが、無理なく続けられる範囲で費用をかけることが大切です。 長く楽しみながら、茶道の世界に触れていきましょう。

❙はじめてのお稽古 ~ 持物 ~

はじめてお稽古に通うにあたり、必要な持ち物を事前に準備しておくことは大切です。

茶道の道具には特有のものが多く、最初は何を揃えればよいのか迷うかもしれませんが、基本的な持ち物とその用途を理解することでスムーズにお稽古を始めることができます。

またお稽古場によっては、最初のうちは先生が貸し出してくださる場合もあるため、事前に相談し、無理なく揃えていくことが大切です。

以下に基本的な持ち物をリスト形式でまとめました。流派や先生によって必要な持物が異なる場合もあるため、事前にお稽古場と確認しながら少しずつ揃えていくとよいでしょう。

必須の持ち物

❙帛紗(点前帛紗)❙

帛紗は、茶道の点前において茶器を清めるために使用される絹製の布であり、茶道具の取り扱いに欠かせない重要な道具の一つです。茶碗や茶杓、棗などを拭うために用いられ、その扱い方には決まりがあります。また流派や性別によって色が異なり、表千家では男性は朱、女性は紅、裏千家では男性は紫、女性は赤が一般的です。帛紗のさばき方や使い方には所作の美しさが求められ、茶道精神や礼作儀法を体現する道具として大切にされています。


❙懐紙❙

懐紙は、茶道において和菓子をのせたり、口元や指を拭う際に用いる薄い和紙で茶席では必須の持ち物です。正式には茶席内での調和を図るために白無地のものを使用しますが、懐紙には季節の模様が入ったものもあり、お稽古ではおしゃれや季節感を楽しむことも可能です。


❙扇子❙

茶人にとってはどの場面においても必ず携帯しておく持ち物となります。茶道用の扇子は一般的なものより小ぶりで長さが短いのが特徴です。茶席では実際に扇ぐのではなく、挨拶や道具の拝見の際に使用します。流派や性別によってサイズが異なるため、入門前に必ず先生に確認する必要があります。


❙楊枝❙

主菓子をいただく際に用いる楊枝です。黒文字という香りのよい木で作られる楊枝は正式には使い捨てとされています。そのためお稽古やお茶会で繰り返し使えるように、ステンレスなどの金属製の楊枝を一つ持っていることをおすすめします。


❙帛紗挟み❙

携行する帛紗や懐紙、扇子、楊枝などの小物をまとめて収納するための茶人用の袋(バック)です。男性用は大ぶりで落ち着いた色合いで、女性用は小ぶりで華やかな柄が選ばれることが一般的です。持ち物を一式整理して持ち運べるため、お稽古や茶会での必需品とされています。

 

推奨の持ち物

❙出帛紗・古帛紗❙

亭主が濃茶点前の際に使用する布で、道具の扱いや拝見の際に用いられます。帛紗(点前帛紗)とは異なり、茶器や茶杓を清める目的ではなく、茶入や棗などの拝見の際に下に敷いたり、持ち運ぶ際に手の上に敷いたりするものです。

出帛紗(だしぶくさ)は点前帛紗と同じ寸法で表千家にて用います。一方、古帛紗(こぶくさ)は出帛紗の四つ折りほどの寸法で裏千家にて用います。

客人としての携行品ではありませんがさまざまな柄があり、楽しめる道具ですので一枚持っておくのをお勧めします。

❙数寄屋袋❙

数寄屋袋は、携行する道具をまとめて収納し持ち運びするための袋(バック)です。前述の帛紗挟みよりも一回り大きなサイズで、帛紗挟やそれ以外の自身の携行品(ハンカチ、ティッシュ、お化粧直しなど)を収納します。

お稽古や茶会の際に使用されるため、実用性が高く、さまざまな生地や柄があり、自身の服装などと合わす楽しさもあり、お稽古がすすみ、茶人として外出する機会が増えれば一つ購入するのがおすすめです。

 

❙足袋❙

茶道は畳の上で行うのが基本であり、茶席では畳や建築物を汚さないよう細心の注意を払うことが大切です。そのため、畳の上に上がる際は清潔な足袋に履き替えるのが礼とされています。正式な茶席では白足袋を履くのが基本ですが、お稽古などのシーンでは白い靴下でも差し支えありません。


❙風呂敷❙

茶道において風呂敷はさまざまな場面で使えるため非常に重宝されています。

道具を包んだり、自身の持物をまとめる際に用います。包まれたものを保護するのは当然ながら足袋と同じように畳を傷つけないためにも礼儀として必要となります。素材や柄にもさまざまな種類があり、用途や場面に応じて使い分けることが求められます。お稽古がすすみ、茶人として外出する機会が増えれば必ず一枚は持っておくことを推奨します。



 

これらの道具がセットになった初心者セットも5,000円~10,000円程度で販売されており、一式揃えるのに便利です。流派によって推奨される道具が異なることもあるため、購入前に先生に確認するのがおすすめです。

茶道のお稽古に必要な持ち物は、最初からすべて揃える必要はありません。先生によっては貸し出しを行っていることもあるため、事前に相談しながら無理なく準備を進めていきましょう。道具を大切に扱いながら、お稽古を楽しんでください。

​また、道具は大切に扱い、日々のお稽古愛着を持つことも茶道の楽しみの一つです。自分の道具を少しずつ揃えながら、茶道の世界を楽しんでいきましょう。

❙はじめてのお稽古 ~ 服装 ~

お稽古に参加する際、服装は単なる身だしなみではなく、茶室の空間や茶道具を尊重するための大切な要素です。

茶道における服装の基本的な心構えとして「畳を傷つけない」「道具を傷つけない」「点前・作法の妨げにならない」ことをが意識することが重要です。

​以下に、お稽古にふさわしい服装と身だしなみの要点をご紹介します。
 

❙服装❙

茶道のお稽古では、着物を着ることでより本格的な学びができますが、ほとんどのお稽古場では洋服での参加も可能です。

服装において最も大切なのは、清潔感を保ち、席中の調和を意識することです。

茶道の点前や作法を行う上で、ミニスカートやタイトなズボンは正座や所作の妨げになるため避けるのが望ましいです。また、ジーンズなどの硬い生地のものは、正座の際に畳を傷つける恐れがあるため、できるだけ柔らかい生地の服装を選ぶとよいでしょう。

さらに、茶席の雰囲気を乱すような派手な服装や、ダメージ加工のズボンなども避けるのがマナーです。

お稽古場によっては、洋服の上から着用するベルトや稽古着(ベスト)が用意されている場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

 

❙身だしなみ❙

お稽古場に入る際は、畳を汚さないために足袋や白い靴下に履き替えるのが基本です。

また、時計や指輪、ネックレス、ピアス、携帯電話など、柱や道具を傷つける可能性のあるものは必ず外しておきましょう。これまでにも、茶会などで装飾品や携帯電話が予期せず外れたり落としたりして、貴重な道具を傷つけてしまう事例が多くあります。

茶道では、茶室の空間を大切にし、日常を離れた「花の香り」や「香の香り」、さらに「炭の音」など、自然との調和が重視されます。そのため、香水やコロン、整髪料など強い香りを発するものは控えるようにしましょう。

また、長い髪は抹茶をいただく際や道具の拝見をする際に邪魔になりやすいため、まとめておくことが礼儀の一つとされています。清潔感のある身だしなみを心がけ、茶道の精神にふさわしい整え方を意識しましょう。

お稽古では適切な服装と身だしなみを心がけ、気持ちよくお稽古に臨みましょう。

❙はじめてのお稽古 ~ 資格 ~

茶道において資格は「免状」や「許状」と呼ばれ、一定の稽古を積み、師の推薦(許可)を得ることで授与されます。これらの資格は茶道の技術や知識の習得を証明するものであり、流派ごとに異なる段階(資格)が設けられています。

 

❙資格の位置づけ❙

茶道において資格は必須ではなく、趣味として学ぶ場合には特に取得する必要はありません。しかし、点前を深く学びたい方や将来的に指導者として活動したい方にとっては、資格の取得が重要となります。

❙許状の取得方法❙

許状を取得するには、師匠の推薦(許可)が必要となります。流派ごとに異なりますが、基本的には決められたお点前を修得し、師匠が認めた段階で申請を行います。申請には流派に納める登録料や、師匠に対する謝礼が必要になるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

 

❙主な資格の種類❙

また、資格の段階やその効力も流派ごとに異なるため、資格取得を希望する場合は、入門時に師匠や先生に相談し、どのような過程を経て取得できるのかを確認しておくことが大切です。資格の取得は、茶道の学びを深める一つの道ですが、何よりも日々の稽古を大切にし、自分のペースで学び続けることが重要です。

❙資格取得のメリット❙

各流派により資格取得者の扱いは異なりますが、資格を取得することで茶道の理解が深まり、より高度な点前や所作を学ぶことができるようになります。資格を段階的に取得することで、茶道の精神や技術を体系的に身につけることができ、自身の成長にもつながります。

また、資格を持つことで将来的に指導者としての道が開かれる可能性もあります。一定の資格を取得することで、茶道教室を開いたり、後進の指導に携わることができるようになり、茶道の伝統を継承する役割を担うこともできます。

 


資格の取得はあくまで個人の目的や目標に応じて決めるものです。無理に取得を目指す必要はなく、自分のペースでお稽古を続けながら、必要に応じて申請するのがよいでしょう。資格を目標にすることも一つの学びの道ですが、茶道の本質は資格取得ではなく、日々の稽古を通じて心を磨くことにあることを忘れずに学んでいきましょう。

❙はじめてのお稽古 ~ FAQ ~

はじめて茶道のお稽古を始めるにあたり、多くの方が感じる疑問や不安について、よくある質問をまとめました。

茶道は一生学び続ける奥深い世界ですが、最初は誰もが初心者です。安心してお稽古を始められるよう、参考にしてください。

❙Q.何歳から茶道を始めることができますか?❙

A.茶道には特に年齢制限はなく、子どもから大人まで幅広い年代の方が学んでいます。子ども向けの教室がある流派もありますし、大人になってから始める方も多くいます。年齢を問わず、自分のペースで学べるのが茶道の魅力です。

❙Q.男性でも茶道を習うことはできますか?❙

A.もちろん可能です。茶道は男女問わず日本の文化や礼儀作法を学ぶことができ、もともとは男性主体の文化として発展してきました。特に、日本文化に関わる職業(料理人、陶芸家、茶舗、和菓子職人、織物業、茶道具商など)の方は、職業の延長線上で茶道を学ぶことが多くあります。

また、近年ではビジネスマナーの向上や精神修養、歴史・日本文化への興味など、さまざまな理由で茶道を学ぶ男性が増えています。日常生活や仕事の場面においても役立つ学びが得られることから、男性の茶道人口も広がりを見せています。

❙Q.左利きなのですが、点前を習う際に影響はありますか?❙

A.茶道では、基本的に右手を使う作法が多いため、左利きの方でも右手で点前を行うことになります。ただし、先生の指導のもとで練習を重ねれば、自然と慣れていきますので心配する必要はありません。

❙Q.途中で流派を変えることはできますか?❙

A.茶道では、流儀を重んじるため、一度入門した流派を途中で変えることは一般的には推奨されていません。流派ごとに作法や教えが異なり、途中で変えると学び直しが必要になるため、流派選びは慎重に行いましょう。もし変更を考える場合は、現在の先生に相談することをおすすめします。

❙Q.茶道の道具は最初から高価なものを揃えたほうがよいですか?❙

A.初心者のうちは、高価な道具を揃える必要はありません。まずは基本的な持ち物を用意し、先生のアドバイスを受けながら徐々に揃えていくとよいでしょう。茶道具には多くの種類があり、自分の成長に合わせてお気に入りの道具を選ぶ楽しみもあります。

❙Q.茶道のお稽古を長く続けるコツはありますか?❙

A.なにごとも無理をせず、自分のペースで学ぶことが大切です。また、先生やお稽古仲間との交流を大切にし、茶会やお茶事に積極的に参加することで、楽しみながら学ぶことができます。茶道は一生を通じて学ぶものなので、焦らずじっくり取り組みましょう。

❙Q.茶道の稽古は何年続ければ一人前になれますか?❙

A.茶道を学ぶのに終わりはなく、生涯修行です。基本の点前は数か月~1年程度で覚えることができますが、より高度な点前や茶道の精神を深く理解するには、長い年月をかけて修練を積むことが必要です。

❙Q.お茶会や茶事には必ず参加しなければなりませんか?❙

A.お稽古を続けていると、先生やお稽古場からお茶会や茶事の案内を受けることがありますが、必ず参加しなければならないわけではありません。ただし、実際の茶席を経験することで茶道の理解が深まるため、無理のない範囲で参加することをおすすめします。

❙Q.お稽古を休む場合、どのように連絡すればよいですか?❙

A.お稽古を休む場合は、できるだけ早めに先生に連絡しましょう。茶道は礼儀を重んじる世界なので、無断で休むのは避けるべきです。教室によっては、振替のお稽古が可能な場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。

​茶道のお稽古は、作法だけでな、日本の美意識や心の持ち方を学ぶ貴重な機会です。疑問や不安を一つずつ解決しながら、少しずつ学びながら、自分なりの茶道の楽しみ方を見つけてください。

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